第3回 内定を辞退する際のポイント|具体的な伝え方と注意点
前回は、内定後に確認すべき点や、複数の内定先を比較する際の判断軸について解説しました。
比較検討を重ね、入社したい企業を決めたら、ほかの企業には辞退の意思を伝える必要があります。その際、選考を通じてお世話になった企業ほど、連絡を躊躇してしまうかもしれません。また、「辞退をどう伝えれば失礼がないか」と悩む方も少なくないでしょう。
そこで今回は、内定辞退について、「誰に、いつ、どのように伝えるべきか」といった点も含め、具体例を交えながら解説します。
内定辞退で大切な3つの基本
内々定や内定を受け取ったからといって、必ず承諾しなければならないわけではなく、まだ承諾の意思を示していない段階で辞退することは可能です。
一方で辞退の時期や伝え方によっては、採用担当者や関係者に悪印象が残ることもあります。また、社会人になってから、取引先や仕事上の関係者として、再びご縁が生まれることもあるかもしれません。だからこそ、辞退をする企業であっても、最後まで誠実に向き合いましょう。
ここでは、辞退を伝えるための3つの基本を紹介します。
なお、内々定・内定という名称にかかわらず、一度承諾した後に辞退する場合は、より慎重な対応が求められます。承諾後の辞退については、後ほど詳しく解説します。
1. 採用担当者へ、できるだけ早く伝える
内定辞退の連絡は、基本的には採用担当者に伝えます。
内定通知を受けたメールや電話の相手が人事や採用担当者であれば、その方に連絡しましょう。選考中にリクルーターや面談担当者とやりとりをしていた場合でも、正式な窓口は採用担当であることが多いです。
伝えるタイミングは、辞退を決めた当日、遅くとも翌営業日にしましょう。「気まずいから、もう少し後にしよう」と先延ばしにしたくなるかもしれません。しかし、企業は内定者の人数をもとに、その後の採用活動や入社準備を進めています。辞退の意思が固まっている場合は、早く伝えるほど相手への配慮にもなるのです。
2. 辞退理由は簡潔に伝える
辞退理由は、詳しく説明しすぎる必要はありません。もちろん、嘘をつくべきではないものの、「社風が合わないと感じた」「他社の業務内容の方が魅力的だった」といった内容は伝えない方がよいでしょう。相手を不快にさせたり、不要な議論を招いたりする可能性があるためです。
大切なのは、「企業側に原因があるように聞こえる言い方を避ける」という点です。内定辞退の連絡は、企業を評価したり批判するためではなく、あくまで自分の進路について伝えることが目的だと認識しましょう。
そのため、辞退理由を聞かれた場合も、「自分の将来像やキャリアを考えた結果、別の選択をした」といった形で、簡潔に伝えるとよいでしょう。具体的な入社先を伝える必要はなく、聞かれた場合は「貴社と同業界の企業です」などと答えれば問題ありません。
3. 電話またはメールで、誠実に伝える
①電話で伝える場合
内定辞退は、可能であれば電話で伝えるのが丁寧です。
特に、選考中に多くの社員と関わった企業の場合や、内定承諾後の辞退などのケースにおいては、電話で直接伝えた方がよいでしょう。文面でなく直接伝えることで、感謝やお詫びの気持ちも届きやすくなります。
具体的な連絡の仕方として、まず大学名と氏名を名乗り、採用担当者に取り次いでもらいます。担当者につながったら、改めて内定へのお礼を伝えた上で、「慎重に検討した結果、貴社の内定を辞退させていただきたい」という意向を明確に述べましょう。あわせて、「選考や面談を通じて貴重な時間をいただいたにもかかわらず申し訳ない」というお詫びも添えると良いです。
その上で、担当者から辞退理由を聞かれた場合も、前述の通り簡潔に答えれば問題ありません。なお、緊張しそうな場合には、話す内容を事前にメモしておくと落ち着いて対応できるでしょう。
②メールで伝える場合
担当者に電話がなかなかつながらない場合や、企業側から連絡方法を指定されている場合は、メールでも問題ありません。電話が通じなかった場合は、「お電話いたしましたが、ご不在のようでしたので、メールにて失礼いたします」などと添えると丁寧な印象になります。
メールを作成する際は、まず件名だけで内容と差出人が分かるよう、大学名や氏名を入れておきましょう。本文では、内定へのお礼、辞退の意思、選考でお世話になったことへのお詫びを簡潔に伝え、「貴社の今後ますますのご発展をお祈り申し上げます」といった結びの挨拶で締めます。長々と説明するのではなく、用件を丁寧かつコンパクトに伝えることを意識してください。
内定辞退は伝えにくいものですが、辞退を決めたらできるだけ早く連絡し、これまでの選考への感謝を示したうえで、理由や意向を簡潔に伝えることが大切です。相手への配慮を忘れず、最後まで丁寧に対応しましょう。
特に慎重な対応が求められるケース
ここまで解説した通り、内定辞退は常に慎重な対応が求められます。ただし、以下の3つのケースについては、通常よりもさらに注意が必要です。
①内定を承諾した後に辞退する場合
内定承諾後の辞退は、承諾前の場合と重大さが異なります。
内定を承諾した時点で、企業側は皆さんの入社を前提に、配属先の検討や研修・内定者イベントの準備など、受け入れ体制を整えはじめます。この段階での辞退は、企業側のさまざまな計画に影響を与えてしまうのです。
一方で、承諾後に事情が変わり、どうしても進路を見直したくなることもあるでしょう。その場合は、できるだけ早く採用担当者へ連絡し、承諾後の辞退となることへのお詫びと、これまで対応していただいたことへの感謝を丁寧に伝えることが重要になります。
また、上述のとおり企業側への影響も大きいので、なるべくこのような事態は避けたいところです。そのためにも、内定を承諾する前に、仕事内容や条件、他社の選考状況を確認し、十分に考えておくことが大切です。
②推薦応募の場合
推薦応募とは、大学の就職課や研究室、教授などの推薦を受けて企業にエントリーする仕組みです。 この場合は一般的な応募と異なり、辞退をすると自分だけの問題で終わらないことがあります。辞退の仕方によっては、大学と企業の信頼関係が崩れ、今後の推薦枠に影響する可能性もあるためです。
そのため、企業へ直接連絡する前に、まずは窓口となっている大学の担当者や教授へ相談しましょう。事情を説明し、誰に、どのような順序で伝えるべきかを確認したうえで対応するのが望ましいです。
③OB・OG訪問や社員紹介を受けた場合
OB・OG訪問や社員紹介を通じて選考に進んだ場合は、採用担当者への連絡とは別に、お世話になった方にも報告をしましょう。
OB・OGの皆さんも、お忙しい中、学生のために時間を割き、企業への理解を深める機会や、選考に進むきっかけを提供してくださっています。 辞退すること自体が悪いわけではありませんが、何も報告しないまま終えてしまうと、不誠実な印象を与えかねません。今後の関係性も踏まえ、感謝の気持ちと共にしっかり対応しましょう。
まとめ
内定辞退は、学生にとって伝えづらい連絡のひとつです。お世話になった企業であればあるほど、申し訳なさを感じることもあるでしょう。
しかし、入社先を一社に決める以上、辞退は誰にでも起こり得るものです。大切なのは、辞退すること自体を過度に恐れるのではなく、相手への感謝と配慮を持って、誠実に伝えることです。
社会人になってから、辞退した企業と再び関わる機会が生まれることもあります。取引先や転職先、仕事上の関係者として、思わぬ形で縁がつながることもあるでしょう。だからこそ、入社しない企業であっても、最後まで丁寧に向き合う姿勢が大切です。
内定後の対応は、社会人としての第一歩でもあります。自分が納得できる進路を選びながら、関わった企業や人への敬意も忘れずに、就職活動を締めくくりましょう。
次回は、実際に入社するまでの過ごし方について解説します。